マーケティングには「調査のプロ」というイメージがあるようです。
確かに、顧客のニーズを知るために念入りなリサーチが必須となりますが、業務はそれだけに留まりません。
顧客が欲求を抱いてから商品を買うまでの道筋をていねいに整える仕事です。
よく、マーケティングの仕事は湖や川、池などに例えられます。つまり、上流にある「市場」という湖から下流の「売上」という池まで、できるだけたくさんの「お金」という水を流していく仕事だということです。
この表現にはさまざまな鉄則やノウハウが詰まっています。以下はその中のごく一部ですが、業務内容を理解する手掛かりになるでしょう。
当然のことですが、何もつながっていない湖から池まで水が流れることはあり得ません。これはマーケティングでも同様で、お金が通る道を整備する必要があります。それが広告やキャンペーンの開催、販売ルートの整備などになります。
しかし、ただ闇雲に道を作っても水がしっかり流れてくるとはかぎらないものです。水路を作るなら「どういうルートを作るとベストか」「工事コストが高くならないかな」といろいろなことを考えるはず。
これがマーケティングにおけるニーズ調査や広告企画などに該当します。またこの表現から、大切なことは顧客の目線に立つことだとも分かります。湖と池の位置関係が分かっていなければ道を作ることはできません。
つまり、マーケティングにおいて「顧客が自社製品をどのように感じ取っているのか」が分からなければ商品が売れないということです。
それ以外に厄介なことは、市場の状態は常に変わるということ。常に経済や流行にアンテナを貼り、敏感に状況を察知していることが重要です。
会社はより多くの売上を求めています。上記の表現で言うなら、できるだけたくさんの水が欲しいわけです。その時に大切なことは、水の勢いと量を両立させることです。ゴムホースの先を潰すように、勢いだけ増させても意味がないということです。
マーケティングにおいて、これらは商品の価格と個数に当たります。一流のマーケターに求められていることは、値上げをしながらも販売数を減らさないことです。
川の水が流れる時は位置エネルギーが働きます。マーケティングにおいては商品、もしくはブランドの価値がそれに当たります。つまり、商品やブランドとしての力が弱ければ、どれだけ販売ルートを整備しても全く売れないということです。
これらのバリューはかならずしもスペックによるとはかぎりません。広告なども大きな要因になります。どれだけ自社商品が魅力的かをアピールし、顧客を引き付けるエネルギーを生み出させるかもマーケターの腕の見せどころです。
マーケティングは市場と商品をつなげる役目を担っています。単にニーズを調査するだけでなく、購入してもらうための戦略を練り実行します。