USCPAのキャリア、合格後にはどんな選択肢がある?

USCPAを目指す上でもっとも気になるのが、資格取得後のキャリアパスです。

「合格後の仕事としてどんな選択肢があるのか?」についてはUSCPAの資格を取るべきか検討中の方も多いに気になるところでしょう。

そこでかつてBig4(世界4大会計事務所)の一つで働いていたことのある筆者の経験も踏まえ、USCPA試験合格者としての強みや合格後のキャリアの選択肢についてお伝えさせていただきます。

USCPA合格者という強みについて

USCPAの合格者が新たに手に入れる強みはいくつかあります。そこで大きく以下の2つに分けてご紹介していきましょう。

「USCPA試験合格」を採用条件とする大手監査法人や外資系企業などに応募できる!

日本国内の「四大監査法人 (よんだいかんさほうじん)」であるEY新日本、トーマツ、あずさ、PwC(プライス・ウォーターハウス・クーパース)あらたの各監査法人や外資系企業の中には、募集要項で「USCPA試験合格者」を採用条件として掲げているところがあります。特に日本の公認会計士や税理士試験合格者が多数入所する監査法人では、それらの資格と同様にUSCPA試験に合格していないと応募すらできないところが大半です。

さらにそれまでの職務経験があれば、その経験も合わせて評価され、採用後は自分がかつていた業界のクライアント企業への監査などを任されることもあります。例えば、筆者は邦銀出身であったために金融機関専門のセクションで監査業務や関連するコンサルティング・サービス業務についていました。

会計の知識やビジネスで必要な最低限の英語力があると見なされる!

USCPA試験は日本国内でも受験できるものの、問題は全て英語となっています。合格者に対する採用側の印象としては、「会計の知識」があるというだけでなく、ITやファイナンスなど各ビジネス分野を理解するのに必要な「英語力」があるという認識を持たれるでしょう。

もちろん試験に合格しただけで、それまで英語とは無縁だった方がいきなり「英語によるコミュニケーション能力」まで備わっていると考えられるわけではありません。TOEIC試験の高得点者がだれしも必ず英語のヒアリング力やスピーキング力があるわけではないのと同じことです。
ただし、前述のようにUSCPA試験に合格すれば、英語が不要な会社でしか勤務経験の無い人でも、英語力がビジネスで必要とされる分野に飛び込めるチャンスが生まれます。例えば、Big4系の監査法人やそのグループ内コンサルティング会社、さらに外資系の金融機関や一般事業会社などです。

監査法人で日本国内の外資系企業を監査する担当セクションなどに配属されると「仕事で使える英語力」を伸ばすチャンスが訪れます。最初のうちは慣れない英語を使って、本国から日本に赴任しているアメリカ人パートナーやシニアマネージャー達に、クライアント企業で監査中に見つかった課題(Issue)について一生懸命に説明するような光景を目にする機会もあります。

そして数年後には英語でのコミュニケーションにも慣れ、読み書きだけでない真の英語力を身につけていっています。USCPA試験に合格すれば、そのような仕事にチャレンジする入口に立つことも可能になるのです。

USCPAのキャリア例①:大手監査法人や会計事務所に転職

USCPA試験に合格した方の場合、その多くがBig4系と呼ばれる大手監査法人や会計事務所への転職を一度は考えます。特に会計や監査業務とは無縁だった方がそれらの分野へとキャリアチェンジする場合、USCPA試験合格は非常に有効なツールとなるでしょう。

会計や監査の分野も幅が広く、主に会計監査を担う「アシュアランス・サービス」以外にも、IFRS対応支援や決算早期化などの「アカウンティングアドバイザリー・サービス」、M&Aの前段階としておこなわれる買収予定企業へのデューデリ業務などを行う「トランザクションアドバイザリー・サービス」、税務対策などをサポートする「税務コンサルティングサービス」などがあります。まさに自分の専門性を非常に高いレベルで高め、充実したキャリア構築が可能となります。

USCPAのキャリア例②:外資系企業やグローバル展開する日本企業

USCPA合格後のキャリアは監査法人や会計事務所だけではありません。日本国内の外資系企業や、グローバル展開し、国際会計基準に準拠した会計情報を開示する大手日本企業へのキャリアも考えられます。この場合、もっとも多い職種としては「経理・財務関連業務」と「内部監査業務」です。

経理業務の経験を積めば、その後でどの企業に転職しても通用するスキルを身につけることができます。また、社内の各部署を横断的に監査する内部監査の仕事は、会社全体の動きがダイレクトに見られるためにとてもやりがいや仕事の面白さを感じることができるでしょう。

USCPAのキャリア例③:アメリカや海外各国で勤務

USCPA取得後のキャリアとしては、日本国内だけにとどまらず、海外にも積極的に出て行って働くことも考えられます。例えば、アメリカ国内に進出している日本企業の他、英語力に自信のある方ならアメリカ国内のBig4系会計事務所で就労するチャンスもあります。

アメリカ国内のBig4系大手会計事務所の中でも、LAやサンフランシスコ、シカゴ、ニューヨークといった大都市にあるオフィスの場合、「Japan Division」などと呼ばれているセクションがあります。在米日本企業を主なクライアントとしている部署です。先ほどご紹介した日本国内のBig4系グループの監査法人からこの部署に転勤する事例もあります。

また、アメリカにとどまらず世界各国に進出している日本企業で、経理担当者などとして働くことも視野に入れることができるでしょう。さらにUSCPA資格を取得すれば、カナダやメキシコ、オーストラリア、ニュージーランド、香港、アイルランドなどでも「会計士業務」が行えますので、資格取得後の可能性は広がります。

まとめ

USCPA取得後のキャリアについていくつか事例を挙げてご紹介しました。しかし、実際にはその方のそれまでのスキルや職歴などによって、ここで挙げた以外にも多様なキャリアを構築できる可能性があります。中には会社の経営陣やそれに近い経営戦略系などのセクションでUSCPAの知識を活かして活躍するといったことも考えられます。いずれにしてもUSCPA取得をきっかけとしたキャリアチェンジなど、活躍の場が広がることは大きなメリットになります。

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