USCPAの難易度はどのくらい?合格率からみる資格取得のポイント

グローバルな会計士の資格としてUSCPA(米国公認会計士)があります。

世界的に知られたものだけに「難しそう」と感じる方が多いようですが、効率よく勉強していけば合格も夢ではありません。
USCPA(米国公認会計士)試験の受験を検討中の方にとって、日本人の合格率や他の資格と比べた場合の難易度などはとても気になるところではないでしょうか。この記事ではUSCPA試験の日本人合格率や公認会計士や弁護士などの資格と比べた場合の難易度、さらに資格取得の上で大切なポイントについてお伝えしていきます。

USCPAの難易度は高い?

USCPA試験の難易度ですが、後述するように日本国内で難関試験と呼ばれている公認会計士や弁護士ほどの難易度はありません。しかし、試験問題がすべて英語で問われる上に試験のボリュームも多く、その範囲も広いという特徴があります。そのため生半可な勉強や対策では合格することは難しい試験といえるでしょう。

合格に必要な学習時間はおよそ1,000時間から1,200時間ほどです。学習時間については受験する方の会計知識や英語力などによっても大きく異なってきます。会計の知識については簿記2級程度かそれよりも若干深いレベルの知識が問われます。

また、英語力については大学受験の際にしっかりと英語対策をしてきた方なら、頻出する多少の会計や監査、ITなどで使われる英語の表現を覚えれば問題なく対処できるでしょう。TOEIC試験に換算するとおよそ750点以上あれば、試験で問われていることがほぼ問題なく理解できるレベルです。

ただし、英語力という点ではBECという科目でWC問題(Written Communication)という記述問題が出題され、英文ビジネスレターを作成する力が必要になってきます。また、試験時間に対して試験問題のボリュームが多く、問題全体について何度も読み返さずに済むように、頭から効率よく読みこなしていく力も必要です。

USCPAの日本人合格率について

USCPAの日本人合格率ですが、NASBA(全米州政府会計委員会)発表のデータによると2017年度の4科目平均の合格率は「34.6%」でした。この年の日本人受験生の全受験総数は2,041名でしたので、700名ほどの受験生が合格していることになります。

この合格率を科目別にみていくと計算問題のウエイトが高い「FAR(財務会計)」の合格率が40%前半となっています。それに対して英語力のハンディキャップがあり、日本人には苦手とされることが多い「BEC(ビジネス概論)」や「AUD(監査)」の合格率は20%後半とFARよりもかなり低くなります。

この理由としては英作文力が必要であり、英語での論点理解も難しいBECや監査の実務経験が無い中でAUDを受験しなければならないからだと考えられます。アメリカ人受験生の多くは大学の学部で会計を専攻し、試験で問われる範囲を学部時代にしっかりと学習しています。また、会計事務所に入所して会計監査の経験を積みながら受験する人の割合も高いことがいえます。

つまり、試験で問われている範囲を大学や実務で既に学んでいるのに対し、日本人受験生のほとんどは会計実務や監査業務の未経験者です。英語力によるハンディがあることも重なって、これらの科目での日本人の合格率は低めとなっています。

他の資格とUSCPAの難易度比較

USCPA試験の難易度を日本国内の他の資格と比べた場合はどうでしょうか。ここでは公認会計士と弁護士(司法試験)、司法書士と比べてみます。ひと言でいえば、これら3つの資格よりもUSCPA試験のほうが難易度自体はずっと低く、問われている論点も浅くて広いといえるでしょう。

USCPA以外のこれら3つの試験では、合格者が増えすぎないように年によって合格点の調整がおこなわれたりします。つまり、基本的に落とすための「相対評価」の試験であるのに対し、USCPAの場合は75点を取れば合格する「絶対評価」の試験となっています。そういった特徴も合格点を取れば合格できるUSCPAは他の3つの資格よりも難易度が低い理由の一つとなります。

この中でUSCPAは公認会計士と試験範囲が似ていますが、試験範囲自体は公認会計士よりも広くて浅い試験です。他の2つは法律系の資格であるために比較が難しいところですが、USCPA試験を含めた4つの資格を合格率と勉強時間で比べると以下のようになります。難易度を知る上で一つの目安になるでしょう。

  USCPA 公認会計士 弁護士 司法書士
合格率 30%程度

(4科目平均)

10%前後 25%前後 3%~4%
勉強時間 1,000~1,200時間 3,500~4,000時間 7,000~10,000時間 3,000時間

このデータからはっきりとわかることは、USCPA試験は他の資格よりも合格率が高く、必要な学習時間は3分の1程度と少ない時間で済むことです。また、試験範囲こそ広いものの、ひっかけ問題など点を取らせないような問題がありません。論点学習をしっかりこなした上で、問われていることを正確に理解できれば正解が選べるような素直な試験問題が作られています。

USCPA合格のポイントとは

いくら公認会計士や弁護士ほどの難関試験ではないといっても、試験範囲が広くてボリュームもあるUSCPA試験は全体を効率よく学習していかないと中々合格できません。そこで合格のためのポイントとしては、主要論点を単なる暗記ではなくしっかりと理解した上で、横断的に捉えることが重要です。

まずは徹底した問題演習で問題での論点の問われ方やどのレベルや範囲まで問われるのかを掴むことが必要です。

また、問題によっては高い分析力や英文作成能力も問われるようになっています。特に時間の無いサラリーマンの方は、独学ではなく試験対策のノウハウが豊富な予備校のカリキュラムに沿って、勉強する時間帯では集中的に取り組むことが重要です。

まとめ

これまでUSCPA試験の日本人合格率や他の資格と比べた場合のUSCPA試験の難易度などについてご紹介してきました。公認会計士や弁護士資格などに比べると合格者の調整なども無く、USCPA試験は合格点に達していれば無条件で合格できます。

注意したいのは、科目合格をしても18か月という有効期間がある点です。本気で合格を目指す場合には何年もの長い時間をかけるのではなく、ある程度集中的に学習をこなす必要があるでしょう。ただしそうはいっても過去問や予備校の問題集の演習を中心とし、予備校のカリキュラムをペースメーカーとして効率よくこなしていけば、忙しいサラリーマンの方でも十分に合格できる試験です。

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