中学や高校の頃、英単語や公式を必死に暗記したという方は多いでしょう。
しかし、正しく効率的な方法で記憶できていたという方は多くありません。
学生の頃は時間が有り余るほどあったためそれでも何とかなりましたが、社会人になったらそうはいきません。
効率的な方法で、短時間で覚える必要があります。
効率的に物事を覚えるためには、脳の働きを把握しておく必要があります。暗記に関する話題でかならずと言って良いほど取り上げられるものが「エビングハウスの忘却曲線」です。
心理学者のエビングハウスによると、人はどれだけ努力してもかならず物事を忘れる生きものだそうです。そして、忘れる量は時間が断つごとに多くなっていきます。
しかし、同じことを何度も覚え直すことで、やがて知識が定着し忘れなくなってゆくそうです。そのため、一夜漬けなどで一気に詰め込むのではなく、覚えることを小分けにして1日後、3日後、7日後と少しずつ覚えていくことが効率的です。
覚える回数を増やすと定着する理由も判明しています。人の脳は、物事を「短期記憶」と「長期記憶」という2つに分類して考えています。
1回しか触れていない情報はすべて短期記憶の領域に保存されます。これはPCで言うキャッシュのようなもの。あくまでも一時的にしか覚えることができず、すぐにデータは消滅してしまいます。
しかし、何度も覚え直すうちに脳が「これは重要なんだな」と判断し、データを長期記憶の領域に移動させます。これは保存用に使っているハードディスクやCD-ROMのようなもので、時間が経ってもデータがキープされます。
これが「繰り返し覚えなければならない」ということのメカニズムです。さらに、この短期記憶から長期記憶へと移動させる作業は、夜寝ている時に行われるとされています。
そのため、暗記は夜寝る前に行うことが有効です。直前に覚えたものは脳に強く残り、長期記憶に移される可能性がぐっと高くなるためです。
上述した仕組みをしっかり理解すると、一夜漬けの非効率さが分かるはずです。どれだけ頑張ってもそれらはすべて短期記憶として保存されますから、ちょっと時間が経つことで簡単に忘れてしまいます。
また、これだけの作業をするだけで、脳にとっては大変な苦労です。寝不足でぼんやりしていれば、効率的な暗記などできるわけがありませんね。
まとめると、脳の仕組みに基づいて効率的に暗記するなら、覚える時間は夜寝る前がベストです。しかし、1度だけではすぐに忘れてしまうため、数日ごとに時間をおいて覚え直す必要があります。
ただし、無理は禁物です。脳が疲弊してしまえば、それだけ記憶の定着も遅くなってしまいます。脳に無理をさせないためにも、時間に余裕をもって勉強することが重要です。資格の取得を目指しているなどの方は、ぜひとも参考にしてみましょう。