一流マーケターに学ぶ。森岡毅氏編

会社とは自己満足では成り立ちません。

「良いものを提供するのではなく、売れるものを提供しろ」とはよく言われる言葉です。

このようなマーケティング意識を身に付けているビジネスパーソンはそう多くありません。

一流のマーケターとしては、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン、通称USJのチーフマーケティングオフィサーを務めた森岡毅氏が有名です。

たった6年でUSJの入場者数を倍近くにまで引き上げた森岡毅氏

森岡毅氏は上述したとおり大阪にあるUSJのマーケティングに携わりました。それ以前はP&Gのマーケティングというエリート部署に所属しており、自分のことを「数字のロボット」と称していたそうです。

彼がUSJに入社したのは2010年。革新的なアイデアによって経営難に陥っていたUSJを再建。2010年の入場者数は年間800万人だったにも関わらず、2016年には1400万人を超えるほど。まさにV字回復という言葉がふさわしいでしょう。

残念ながら、「使命を果たした」として2017年の1月末に退社するという意向を発表しています。

森岡毅氏が行った2つのマーケティング術

森岡毅氏がUSJを回復させた秘訣として、入社してすぐさま経営の方向性を変えた点が挙げられます。主なポイントは以下の2つ、どちらもマーケターに必要な極意が詰まっています。

顧客が本当に求めていたものを提供

当時のUSJは、あまりにニッチなテーマパークでした。日本国内でもトップクラスの技術力を有していたものの、こだわりが強過ぎで、特に顧客が求めていない方向に突出していました。

たとえば、当初は映画をコンセプトにしていましたが、それは結局映画ファンにしかウケないということ。森岡毅氏が登場したことで、さまざまなエンターテイメントを集まった、どのような人でも楽しめるテーマパークへと変貌しました。

3段ロケット構想で計画的に運営

お金や時間など、リソースにはかぎりがあります。森岡毅氏はそれらを無駄遣いすることなく、以下のような3つのフェイズに分けて計画的に運用していました。

1.家族連れ層を引き込む→「ユニバーサル・ワンダーランド」を設立
2.関西以外からの集客→「ハリー・ポッター」のテーマパーク誘致
3.ノウハウをUSJ以外の場所にも展開

一流のマーケティング術は努力次第で誰でも習得できる

森岡毅氏はけっして才能だけの人物ではありません。絶望的な状況からのスタート、突然発生した震災などさまざまな苦悩の中、USJを再建させたのは並々ならぬ努力を重ねたからこそです。

このことは彼自身の著書にも書かれています。マーケティングに携わる方なら、誰でも呼んでおきたいものです。

業績に悩んでいるマーケターの方。「顧客が望んでいるものを本当にキャッチできているか?」「プランは現実的か?」をもう1度チェックしてみましょう。もしかしたら当時のUSJのような状況に陥っているかもしれません。

ズレたこだわりを捨てて、かぎられたリソースを有効活用することこそがマーケティングの秘訣。森岡毅氏の経歴から、そのことが学び取れるはずです。

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