仕事中や大事な会議なのに睡魔が襲ってきてどうにもならないと悩んでいる方はたくさんいます。
そんな悩みを解消するにはまずその強烈な眠気の原因を知り、その上で有効な対策を考えていくことが大切です。
この記事では、具体的な眠気の原因とすぐに始められる眠気対策についてお伝えしていきます。
概要
仕事中に限って激しい眠気に悩まされている人は多いですが、その原因はどんなところにあるのでしょうか。
眠気の原因には主に以下の5つが考えられます。
一番多い理由として挙げられるのが、必要十分な睡眠時間が不足していることです。
一般社団法人日本生活習慣病予防協会によれば、日本人の成人の20%もの人が慢性的な不眠に悩まされ、その15%もの人が日中に激しい眠気を感じているというデータがあります。
また、日本人のプレゼンティーイズム(何らかの健康問題によって業務効率が落ちている状況)について研究している産業医科大学の発表では、日本企業のプレゼンティーイズムの損失要因として、睡眠不足が全体の11%を占め、1人当たりの損失額で年間3.4万円という数字を挙げています。
血糖値を上昇させる食事も眠気を誘う原因となっています。
ランチの後では体内で分解された糖分が小腸で吸収された後、血液の流れに乗って全身に回ります。
その際、すい臓の働きによって出されるインスリンというホルモンにより血液中の糖のバランスが整えられ、その作用が眠気を引き起こします。
特に炭水化物の過剰摂取は眠気をより引き起こす可能性があり、注意したほうがいいでしょう。
たくさんの人が同じ部屋で過ごす職場では、二酸化炭素が部屋に充満しがちです。
特に職場が狭くて多くの人が密集するような部屋だったり、会議でたくさんの人が集まる会議室などではその傾向が顕著で、二酸化炭素の濃度が上昇すると集中力や思考力を低下させ、眠気を感じやすくさせます。
睡眠不足とは反対にしっかりと睡眠を取っているにも関わらず、日中に眠気を感じてしまうというのが過眠症です。過眠症には「ナルコレプシー」「突発性過眠症」「反復性過眠症」などがあり、症状が出始めたら医師に相談したほうがいいでしょう。
睡眠中に呼吸が断続的に止まって睡眠の質が低下する睡眠時無呼吸症候群も眠気の原因となります。家族などから激しいいびきなどを指摘されたらこの病気が原因である可能性があります。
眠気を覚ますのに効果的な食べ物や飲み物についてご紹介してみましょう。
チョコレートには「テオブロミン」という成分が含まれており、その成分にカフェインと同じような覚醒作用を促す効果があるとされています。
チョコレートを食べると脳を刺激して、集中力だけでなく思考力も高めるので眠気を感じたら試してみるといいでしょう。
ガムを噛むと脳内の神経伝達物質である「セロトニン」の分泌を促し、神経細胞が活発化されます。その結果、脳のあらゆる部分を刺激して眠気を解消してくれる効果が期待できます。仕事中にガムを噛むことは難しいので、昼食後のひとときに一枚噛んでから仕事に復帰するといいでしょう。尚、スルメにも同じような効果があるものの、食べた後も臭いが残るために職場向きとはいえません。
ランチの際に唐辛子の入ったメニューやわさびでいただくお蕎麦を食べると眠気解消の効果が期待できます。唐辛子に含まれるカプサイシンやわさびに含まれる辛味成分は交感神経に働きかけて集中力を高めてくれます。
カフェインの入った飲み物は眠気を覚ますのに有効です。
カフェインの効果は飲んでからおよそ30分から40分で表れ、およそ4時間ほど持続します。重要な会議などの40分ほど前に飲んでおくとちょうど良いタイミングで効果が感じられそうです。
尚、カフェイン入りの飲み物としてはコーヒーよりも紅茶のほうがより多くのカフェインが含まれています。
ただし、コーヒー豆から挽いてドリップで飲むと逆転して紅茶よりもカフェインが多く摂取できるとも言われています。いずれにせよ、オフィスで手軽に飲むなら、ティーバックなどで手軽に利用できる紅茶を飲むといいでしょう。
次に会議中の場合のように何も持っていない状態で突然眠気が襲ってきた時の対処法についてお伝えしていきます。
手っ取り早く眠気を撃退したいなら、耳のツボを刺激すると効果的です。左右の耳たぶを下に向けて数秒引っ張り、放すという動作を数回繰り返します。それ以外にも「百会(ひゃくえ)」と呼ばれる頭頂部や「風池(ふうち)」と呼ばれるうなじの外側を両手の人差し指で刺激するのも効果的です。
深呼吸すると脳に酸素が行き渡り、眠気が解消できます。
鼻から深呼吸するようにすれば会議中でも気兼ねなく試すことができます。
「グー」「パー」と手を思い切り開いたり、閉じたりすると脳を刺激して眠気さましになります。テーブルの下で繰り返し何度が続ければだれにも気づかれずに眠気を解消できます。
仕事中だけでなく、一日中眠い場合には「サーカディアンリズム」が乱れている可能性があります。
サーカディアンリズムとは日本語で「概日リズム」と呼ばれているもので、生物が生まれながらにして持っている昼と夜を作り出す身体リズムのことです。
このリズムによって、体温やホルモンの分泌などが24時間周期で調整されます。
サーカディアンリズムが狂うとホルモンの分泌などに支障をきたし、眠気を誘う要因となってしまいます。
サーカディアンリズムが狂った場合の対処法として、朝起きた時に太陽の光を積極的に浴びると、眠気の原因となる「メラトニン」の分泌を止めさせ、眠気解消に効果を発揮します。
朝の太陽光を浴びることでリズムを調整し、眠気を感じにくい体にしましょう。
いろいろな方法を試しても眠気がつらくてどうしようもないという場合、睡眠に関する病気の疑いもあります。
そのような病気としては以下のようなものがありますので、症状がある場合は一度医師に相談してもいいでしょう。
睡眠中に呼吸が止まり呼吸していない時間が頻繁に発生する病気です。症状としては、いびきが見られ、さらに脳や体に十分な酸素がいかないために疲労蓄積の要因となって日中の激しい睡魔を引き起こします。この病気は肥満傾向の人や顎が小さくて気道がふさがりやすい人に多く見られる病気です。
日中に耐えきれないほどの激しい眠気に襲われる睡眠障害が過眠症です。この病気の要因は遺伝やストレスなどが重なって発症すると考えられています。完治は難しいとされている病気ですが、医師のアドバイスに従ってできるだけ規則正しい生活を心掛けることで症状が緩和されます。
今回は、仕事中におこる眠気の原因と対処法などについてご紹介しました。日頃から睡眠はしっかりと取るように意識し、夜更かしやベッドでのスマホチェックなど悪い習慣を無くす努力も大切なポイントになってくるでしょう。