最前線でバリバリ働いて活躍していた方でも、昇進した途端に伸び悩んでしまうことがあります。さまざまな理由が考えられますが、もっとも多い原因の1つとして、必要とされるスキルが違うことが挙げられます。
特に管理職になって求められるようになる能力として以下のようなものが挙げられます。
戦略的視点とは、別の言い方をすれば先見性や長期的視野とも言い換えられます。極端なことを言えば、下っ端の内は目先のことさえ考えられていれば業務上問題ありません。
しかし、管理職となればそうはいきません。ゴールのビジョンを明確に抱き、どのようにそこを目指すのかという戦略を立てていく必要になります。
戦略的視点は一足飛びに身に付けられるものではありません。まずは、業務に関する知識を身に付けて「戦闘力」を鍛えます。次に学んだものを実践していき、会社の「戦力」となります。ここまではいわゆる下っ端の領域です。
さらに、チームリーダーやプロジェクトマネージャーになると、比較的短期的な視野で自分を含めたチームの戦力を上手に運用するという「戦術」を覚えます。最後に、長期的な視野を持ち、各スパンで適切な戦術を講じていく「戦略的視点」が身に付きます。
このように、戦略的視点を持つためには長い下積みが重要になります。
ある経済学者によると、マネージャーとは「組織の成果に責任を持つ者」を指すそうです。マネジメント力はこの能力のことですから、「会社やチームが持っているかぎられた人やもの、お金を有効に使って、どれだけ問題を解決できるか」ということになります。
細分化すると、「適切な目標を設定できるか」「部下の能力を把握して適切な仕事を割り振れるか」「進捗状況を管理できているか」などが挙げられます。このような要素はたくさんあり、どれが欠けても成果を上げにくくなるでしょう。
前線で働く間に赦されていても、管理職になったら赦されないことの1つが極端な精神論です。「足りない分は残業で補う」「たぶん上手くいくだろう」という考えでは部下が不満を抱きますし、成果を上げられないこともあります。
管理職はもっと厳密に数字を扱う必要があります。上記のNG例は、「工数は足りているのだろうか」「費用対効果はどれぐらいか」といったように考えるべきところです。
結局のところ、部下も人間です。嫌な上司がいるところで仕事をしたくなくなることは当然でしょう。立場を利用して相手をいびったり、貶めたりするようなことはけっして行ってはなりません。
それは最低限のことで、いわばプラスゼロの状態。成果を上げるためには部下の相談に乗ったり、時には手柄を譲ったりなどでモチベーションをコントロールする必要があります。
有能な管理職とは周囲から信頼されているだけでなく、人間的にも好かれていて当然のものです。
管理職になると新たなスキルを求められます。長い下積みが必要であったり、その人の根本に関わるものであったりと、習得はかなり難しいでしょう。十分に時間を掛けて養っていく必要があります。