リーダーには組織の方向性を示したり、組織全体をまとめるなどのさまざまな役割があります。
組織のリーダーという存在は、時としてオーケストラの指揮者に例えられることがありますが、指揮者からどのようなことを学び、どのような点をビジネスに生かしたら良いのでしょうか。
ここでは、指揮者に学ぶ組織のリーダーの条件についてご紹介します。
概要
オーケストラは、それぞれの楽器が奏でる音が調和と共に一体となる素晴らしさがあります。指揮者はオーケストラをまとめる大切な役割を持っていますが、優れた指揮者の条件として、音楽に関する知識や技術を持っているだけではありません。
一見、音楽とは直接関係がないような、人間的な魅力を備えている必要があります。
組織運営では、組織内にさまざまな分野で活躍するチームメンバーがいる中で、それぞれのメンバーの個性や素質を生かしながら、チーム全体がひとつになって最高の結果を目指すというプロセスが組まれています。これはオーケストラの演奏と似ていると考えてよいでしょう。
そして組織全体をまとめるリーダーは、まさに指揮者と同じ役割をになっており、同じ能力を必要としていると言えます。
優れた指揮者と同じように、組織のリーダーはビジネスに関する知識や技術を持っているだけではなく、人間的な魅力を備えていなければいけません。知識と技術、人間的魅力が備わっていれば、チームメンバーにより良い影響を与えることができるでしょう。
優れた指揮者はそれぞれの演奏者を主役と考え、自分はあくまでも影から支える役割を持つ者として、それぞれの演奏者が奏でる音をうまく引き出し、調和の取れた形にまとめる力を持っています。
組織のリーダーには、上の立場からチームメンバーに指示を出すのではなく、それぞれのメンバーの個性や得意分野を把握した上で、チーム全体をうまくまとめる力量が必要です。
また、チームのミスの責任はリーダー自身が引き受け、チームが出した成果はチーム全体の成果として称えるというような姿勢も大切です。
優れた指揮者は、それぞれの楽器の楽譜が1つにまとめられている譜面を読むことで、正確にテンポを指示するだけでなく、曲のイメージを形にするためにオーケストラ全体を導く力を持っています。
これと同じように、組織のリーダーの条件として、コンピュータのように目標管理だけに力を注ぐのではなく、魅力的なアイディアやイメージをもとに、組織の方向性を示す力を備えていることが大切です。
日頃から練習を積み重ねてきたとしても、本番ではどのようなことが起きるか分りません。
本番の演奏中に、イレギュラーなことが起きた場合でも、指揮者が冷静に判断しながら演奏を立て直すことができれば、それぞれの演奏者も慌てることなく、演奏を続けることができます。
これと同じように、組織のリーダーの条件として、イレギュラーなことが起きた場合でも、トラブルを最小限に抑えるための冷静な判断力を備えている必要があります。
このように「指揮者」と「組織のリーダー」を比較すると、何の共通点もないかのように見えますが、実は多くの共通点があるのです。優れた指揮者が持つ特徴を静かに眺めてみることで、組織のリーダーに必要な事柄を多く学ぶことができるでしょう。