会計には日本の基準とは別にIFRS(国際会計基準)というものがあります。今までは前者が主流でしたが、企業がグローバル化するにつれて後者の考え方が広まってきました。
ビジネスパーソンとして広く活躍していくなら、これら2つの違いをしっかりと把握しておくことが必要です。
IFRSは原則主義と呼ばれており、具体的な基準や方法といったものが示されていません。そのため、各企業が自ら判断や処理を行っていきます。一方で、日本のものは規則主義と呼ばれており、これらが明確に示されています。
この違いは財務諸表を開示する時に大きな差が出てきます。原則主義では「何故このような判断をしたのか」ということが合理的に答えられるよう、注釈が大量に必要になります。実際に規則主義とくらべると、3倍近くのボリューム差が出ると言われています。
IFRSでは賃貸対照表を重視しており、「将来キャッシュフローを生み出せるのか」という投資家や債権者が必要とする情報を正しく伝えるためのものになっています。一方で、日本では損益計算書を重視しています。これは定められた当時の経済が右肩上がりで、将来の予測が容易だったことが影響していると言われています。
当然のことですが、グローバルに対応するならIFRSのほうが優位です。実際に、主要な先進国や新興国はほとんどが採用していると言われており、日本は遅れを取っている状態です。
日本のものが世界で通用しない理由は、税金などの国柄が加味されてしまっていることにあります。コンバージェンスにより重大な差異は解消されてはいるものの、今もまだ独自性が含まれています。
2つの会計基準において、もっとも差異が大きいものがのれんの償却だと言われています。日本では一定の期間で均等に償却しますが、IFRSではテストで減損の兆候がなければ計上しません。この違いが企業の毎期の損益に大きな影響を与えます。一方の基準では黒字でも、もう一方では赤字ということがあるため、特に注意して見たいポイントです。
日本において、会計は主に自国の基準とIFRSの2種類があります。それぞれの主義や重視するポイントを把握して、適切な見方を身に付けましょう。