人材をどのように育成するか悩んでいる方は多いはず。
「ウチの会社で立派に働けるようにしよう!」という考えでは今ひとつ、もっと広い視野を持たせる必要があります。
このことは、今話題の映画「君の名は」の監督、新海誠から学び取れます。
新海誠はアニメーション作家であり、映画監督です。「ほしのこえ」「秒速5センチメートル」など以前から数々の作品を手掛けており、多数の賞を獲得しています。緻密で美しい風景や恋愛テーマなどから、一般人や芸能人問わずファンがたくさんいます。
そして、「君の名は」は2016年の8月に公開された最新作。上映開始から9週間連続で動員数が1位となり、興行収入は189億円を突破。この数値はアニメーション監督で有名な宮﨑駿が作成した「千と千尋の神隠し」に次ぐ、歴代第二位となります。
新海誠が他と一線を画する点は、人材育成の方針です。彼自身も優秀なプレイヤーですが、ワンマンで終わることなくアシスタントを育て上げることを大切にしています。さらに、独立志向のある人材は積極的に独立するよう促しているそうです。
このことから、彼が世の中に排出したアニメーターや漫画家の数は、他のクリエイターとくらべてもかなり多いほうだと言われています。
これは一般的な企業ではなかなか見られないことです。ほとんどの経営層は「会社に残らない奴を育てて何になる」と考えるはず。実際に、就活では「独立する予定はありますか?」という問いに「はい」と答えたら落とされると教え込まれることすらあります。
しかし、「何とかして会社に引き留めよう」という魂胆は、社員にも伝わります。「絶対に辞めるな」というプレッシャーを向けられれば居心地が悪いものです。
「どのような人材を育てれば良いか」は新海誠の方針から読み取れます。つまり、万が一独立や転職などした時であっても活躍できるかということです。
たとえば、自社のローカルルールばかりを徹底的に叩き込み、社風に合わせることを強要し、肝心の知識や技術を全く身に付けさせない。その結果できあがった人材は、下っ端にするにはとても都合が良いでしょう。
しかし、もし会社を辞めたら何もできなくなってしまいます。そして、社内にいても簡単な仕事しかできず、企業としての成長も全く期待できません。
人材育成はもっと広い目で見る必要があります。それこそ会社内ではなく、業界内で活躍できるか否かを見据えて教育するべきでしょう。
社員を育成する時は、独立してもやっていけるかを基準に考えましょう。広い視点を持ってあらゆることに対応できる人は、会社にも大きく貢献してくれます。
実際には、新海誠のように気前良く優秀な人材を排出することは難しいかもしれませんコストやリターンの都合もありますから、本当に独立させる必要はありません。。しかし、無理に縛り付けるような教育は本人だけでなく企業にとってもマイナスです。