リソースを有効に使うということはマネジメントにおいてとても大切なことです。
どれだけ些細なものであっても、できるだけ無駄遣いは控えたいところです。
その良い例が映画館のチラシ。実はどのような映画であってもほとんどがB5サイズで印刷・配布されています。
1枚用意するだけならほんの数円といったところですが、コストやリターンを考えぬいた上で決められたサイズです。
用紙のもっともメジャーなサイズは国際規格でもあるA4でしょう。しかし、実はこの大きさで印刷されているものは国内であまり多くありません。その理由は、主に以下の2つが挙げられます。
紙はサイズによって値段が変わります。これは販売会社によってまちまちですが、基本的に面積が大きいものほど高くなります。A4とB5では1割ほど変わってしまうようです。
さらに、チラシは印刷する必要がありますから、プリントのインク代も掛かります。これもサイズが大きいほど消費するはずですから、トータルで考えると意外と大きな差になることが分かるでしょう。
チラシは映画館のラックに入っており、訪れた方が手に取っていきます。ここで大切なことは、けっしてデスクの上に丁寧に置いたりしないことです。ほとんどの方が片手で持って読んでいます。
サイズが大きいと、用紙がくしゃくしゃになって思うように内容が読めません。B5という大きさは、片手で持って読むのにちょうど良いという訳です。
また、内容が気に入ったら人によっては持ち帰る方もいるはず。ここでA4など大きな用紙だと鞄に入り切らず、折りたたむ必要が出てきます。持ち帰った時にくしゃくしゃになっているかもしれません。
B5なら多くの鞄で折りたたまず、そのまま入れて持ち帰ることができるでしょう。
「読み手にインパクトを与えたい」という目的だけを考えれば、用紙のサイズは大きいほうが圧倒的に有利です。B5にしているということは、コストや利便性を考えてのことで「仕方がない」と妥協している部分もあります。
しかし、だからと言ってインパクトを与えることを諦めているわけではありません。多くの映画広告の制作会社は、かぎられた用紙サイズの中で最大限工夫しています。デザインを派手にする、人目を引くキャッチコピーを添えるなどが代表でしょう。
斬新なチラシとして、「キャプテン・ウルフ」という映画があります。これは2005年に公開されたアメリカの作品ですが、チラシは主演であるヴィン・ディーゼルの顔を大きくプリントアウトし、輪郭に沿って切り取ったものを配布していました。
インパクトが大き過ぎることから今でもこのチラシは大人気で、マニアの間ではオークションなどを通じて取引されることがあるようです。
マネジメントはかぎられたリソースをいかに使うかが秘訣です。映画のチラシはその良い例です。効果と費用を天秤に掛けて、最善策を打ち出しています。