人は誰しも物事を忘れるものです。
しかし、同じ大切な内容でも、ずっと覚えている人と忘れてしまっている人がいます。
彼らの違いは記憶力ではありません。長く覚えていられるよう、工夫しているか否かにあります。
概要
記憶は時間が経つに伴って薄れていくものですが、これにはパターンがあります。ドイツの心理学者であるヘルマン・エビングハウスが行った実験によると、人間は物事を覚えた後、20分で内容の42%を忘れてしまうそうです。
そしてその後1時間で56%、1日で74%、1ヶ月で79%を忘れてしまいます。この時間と覚えていられる内容のパーセンテージのグラフを「エビングハウスの忘却曲線」と呼びます。個人差はあるものの、人は時間が経てば自然と物事を忘れてしまうものです。
エビングハウスによると、人は物事を覚えて20分で42%もの内容を忘れてしまうとされています。しかしそれと同時に、後日同じ内容を復習したら、20分経ってもより多くの内容を覚えていたという実験結果も出しています。
つまり、人が物事を覚えるためには、復習が必要不可欠だということです。一夜漬けが身に付かない理由はこのことが要因になっています。
物事を覚えるための復習は、タイミングが重要です。あまりに早過ぎてもその後すぐに忘れてしまいますし、遅過ぎても思い出すのに苦労します。毎日勉強し直すなど密度が高過ぎても、他のことがおろそかになってしまうでしょう。
そこでおすすめのタイミングは「1」の付く日。つまり、勉強してから「1日後」「1週間後」「1ヶ月後」です。たった3回の復習ですが、集中して取り組めばこれだけで9割以上の物事を覚えられるようになります。
エビングハウスが説いた内容は上記のとおりですが、さらに記憶力を高める方法があります。それは、脳が記憶するには、勉強した後に整理する時間を要するという点が秘訣になってきます。具体的に気を付ける点は以下のとおりです。
脳が覚えた内容を整理する前に、別の記憶が入り込んでしまいます。効率を考えるなら、このような娯楽は先にすべきです。
寝ている最中は、脳に余計なものが入り込まずじっくりと整理できる最良の時間です。ただし、就寝直前に頭を使うと寝付きが悪くなるため一長一短ではあります。入浴や歯磨きなどの寝支度を挟むと良いでしょう。
物覚えが悪いことには方法的な問題があります。けっして、「年を取ってきたから」などという言い訳は通じません。また、頭の良し悪しも関係ありません。どれだけ思考力が優れていても、人はかならず物事を忘れてしまうためです。
大切なことは復習すること。エビングハウスの忘却曲線のような脳の仕組みをしっかりと理解して取り組むことで、記憶力について言い訳することはなくなるはずです。