映画「シンゴジラ」に学ぶ!商品価値の高め方

妥協せずに仕事をすることは難しいことです。自分では「良いものを作りたい」と思っても、「独りよがりは止めろ」「売れるものを作れ」と言われることもたびたび。

しかし、「良いものを作ってはいけない」ということはないようです。このことは大ヒット映画である「シンゴジラ」から読み取ることができます。

日本だけでなく海外でも大ヒットしたシンゴジラ

シンゴジラは2014年にアメリカで放映されたハリウッド版「GODZILLA ゴジラ」が大ヒットしたことを受けて、東宝が制作を開始した作品です。

放映当初から大きな反響を呼び、たった1週間で映画館への動員数は約41万人、2週間で145万人にも上りました。この時点で興収は33.8億円となり、ハリウッド版の最終興収を越えるほどになりました。

その人気は日本だけに留まらず、台湾や香港、シンガポールなど各所で公開されることに。アメリカでは全米興行収入ランキングでトップ10に入る快挙を遂げたようです。

成功の秘訣は妥協なきリアリティー追求

シンゴジラが成功した最大の要因は、監督である庵野秀明が一切の妥協をしなかったことでしょう。彼は特にリアリティーの追求に注力しました。

そのためなら彼はコストを惜しみません。以下のような行動は「売れるために働く人」には到底できないことでしょう。

入念なミーティング

彼のリアリティー追求は相当なもので、プロデューサーが「作中のファンタジー要素はゴジラだけ」と語るほどです。

実際に、庵野秀明は「実際にゴジラが出たら、日本政府はどうする?」「武器の使用は認められるのか?」ということを防衛省や自衛隊などに協力を依頼し、何度も繰り返しミーティングを行いました。

脚本家の中でこれだけ入念な準備をしている方は少ないでしょう。だいたいがイメージとフィーリングで書き上げてしまうはずです。

適材適所のスタッフ選定

shutterstock_271779080シンゴジラの制作スタッフは各所で著名な人物ばかりです。デザインには「巨神兵東京に現わる 劇場版」の模型を担当した竹谷隆之音楽には「ふしぎの海のナディア」「新世紀エヴァンゲリオン」で活躍した鷺巣詩郎などが起用されています。

また、モーションキャプチャーには狂言師の野村萬斎が採用されています。これはゴジラに狂言や能楽の動きを取り入れたかったからのこと。リアリティーを出すために、異業界の人材にも目を向けています。

東宝単独による邪魔されない環境

現在の映画作成は製作委員会方式が多くなっています。これは複数の企業が参加し、共同で製作する体制です。分担作業をするわけですから、人材が少なくてもより大きな作品を手掛けられて、また各所の負担が軽いというメリットがあります。

しかし、これには多くの企業が中身にまで口をはさんでくるというデメリットも。作品の評価は企業の収入に影響するところですから、仕方がないところではあります。

一方で、シンゴジラは製作委員会方式ではなく東宝単独出資で作られています。そのため、他の企業から余計な口出しをされることなく、庵野秀明本人が抱いているビジョン通りに作品を完成させることができました。

シンゴジラが大ヒットしたのは、監督である庵野秀明が一切妥協せず、本当に良いものを追い求めたからです。

今は、「良いもの」ではなく「売れるもの」を作らされる時代。彼のような仕事は難しいかもしれません。しかし、「何のために働くのか」ということを考える機会を与えてくれる作品だと言えます。

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