アイデアの出し方はセンスではなく技術です。
行き詰まったときに「1度休憩してから考えてみる」「他人の意見を取り入れてみる」などさまざまなアプローチが考えられますが、自分ですぐに実践できるものがあります。
それがTRIZ(トゥーリーズ)です。
1人が自由に発想するというものはあまり網羅性がありません。「あらゆることを想定しよう」と思っても、絨毯爆撃のような方法ではどうしても既存の慣れた思考方向に偏ってしまいがちです。思い込みによって同じところをぐるぐると回ってしまうこともあります。
そこで、ロシアのアルトシュラーによって開発された方法がTRIZです。これは発想にある系統や方向性を持たせて、固定的な考え方に偏らないことを目的としています。
TRIZには全部で40の発明原理があり、それに沿った思考をしていきます。たとえば、あるテーマについて以下のような投げかけがおこなわれます。
・分離したらどうか?
・一部を変更したらどうか?
・非対称にしたらどうか?
・質を統一したらどうか?
・形や条件を変えたらどうか?
たとえば、「電車内で痴漢を防止するためにはどうしたら良いか?」というテーマがあります。これにたいして、「男性全員に手錠をつける」「人口密度を減らしてすぐに察知できるようにする」など、なかなか建設的な意見が出ないことがあるでしょう。
そこで用いられるものがTRIZの発明原理の1つ、「分離したらどうか?」です。この発想を具体化したものが、性別ごとに車両を分けた「女性専用車両」です。
「パソコンのコードの挿し間違いを改善するにはどうしたら良いか?」というテーマがあるとします。端子を上下逆にしてしまうと、予想外の電圧によって機器が故障してしまうことが考えられていました。
ここで用いられる発明原理は「非対称にしたらどうか?」という発想です。これによって、非対称に設計されたコネクター類が開発されました。決まった方向にしか挿入できなかった従来のUSBポートが例です。
ネタ出しに行き詰まったときはTRIZを導入してみましょう。40のさまざまな原理によって新たなアイデアの誕生が期待できます。
そのとき新しい開発ができる意外にも、考え方が是正されてより豊かな思考ができるかもしれません。