2020年にセンター試験が廃止され、新しく「大学入学希望者学力評価テスト」「高等学校基礎学力テスト」が導入されます。
このことについて「高校で重視すべき点は何か?」「どのように大学受験を進めれば良いのか?」などさまざまな話題が上がっています。
そのような中、表面下で盛り上がっている話題が採点について。新しいテストではAIが自動で採点することが検討されています。
概要
機械を使った採点法でもっとも古いものはマークシートでしょう。これを発明したのはアメリカのとある高校の物理学教師。生徒の試験を採点するために実験を始めたそうです。その後、IBMが彼の技術を元に開発を進め、一般向けに商品化されました。
それから、何度も改良を重ね、現在に至るまで世界中で使われることに。マークシートはいくつもの答案を高速で処理することで、採点に掛かる時間を一気に短縮することができました。
しかし、問題は選択式に限定されてしまうこと。記述式には対応できません。単なる知識だけでなく深い思考力を問われる設問では、やはり人力で採点しなければなりませんでした。
2020年の新しいテストで導入されるAIは、答案の全てを採点するわけではありません。記述式の設題については以下のようなフェイズを担当しており、最終的には人の目で見る必要があります。
答案用紙をスキャナーで画像としてコンピュータに取り込みます。
OCR(光学式文字読み取り装置)を使って、取り込んだ画像を文字に変換します。
いくつもある答案データを、何種類かのカテゴリーに分類します。具体的には明かされていませんが、使っている語句や語彙数、記述量などが要素になっているのではないかと考えられています。
上記のような作業をAIが担当することで、採点者の負担はかなり軽くなるでしょう。保守的な人からは「機械なんかに任せられるか!」「もっとていねいに採点しろ!」という意見もあるようですが、実はこのような自動化は妥当です。
受験者が大人数になるほど、掛かる時間は膨大になります。記述試験、特に小論文などを1文ずつていねいに読んではいられません。
また、主観的に採点すると複数人で見る場合に違いが生じて不公平になります。そのために、語句や語彙数、記述量など定量的に判断できるもので基準を設けなければなりません。これは時間の短縮と公平性のどちらのためにも必要が手順でした。
つまり、AIが使われていなかった当初から、人力で同じような手順を踏んでいたというわけです。
今後、AIを用いた自動採点はますます指示されていくでしょう。しかし、「ニュアンスの違いなど細かい部分を判別できない」「オリジナリティー溢れる文章はそれだけで0点になってしまう」など、技術的にはまだたくさんの課題が残っています。
本格的に全自動となるのは、まだ当分先のことになるでしょう。