JGAAPは、IFRSとUS GAAPのうちどちらにより近いか?

JGAAPは、IFRSとUS GAAPのうちどちらにより近いか?

上記のタイトルを見て、
「IFRSとUS GAAPは同じようなものだから、J GAAPとの差と言われても。。。」
と戸惑った方は、認識を改める必要があります。


答えは、ずばり『US GAAP』です。

「IFRSは原則主義で、US GAAPは細則主義だから、US GAAPの方がJ GAAPに近い」
と答えた方は、とりあえず「良し」としておきましょう。
でも、原則主義と細則主義というのは、所詮は程度問題、あるいは基準の成熟度の差であり、本質的な差ではありません。

ここでは別の視点、すなわち「会計観」から、IFRSの異質性について考えてみます。

JGAAPとUS GAAPの会計観に根本的な違いはありません。
それは、戦後の日本の会計基準が、米国会計の影響を強く受けてきたためです。
日本の会計基準の歴史は米国基準を後追いしてきた歴史といってもよいでしょう。

このような歴史は、昭和24年7月に公表された企業会計原則に端を発しています。
企業会計原則は、その当時のアメリカの会計原則(SHM会計原則)をベースに日本の商慣習や商法・税法等を考慮して作られたものです。

そして不思議なことに、企業会計原則は、その後のアメリカにおける会計学の発展に応じた見直しをされることなく今日に至っており、実務上はほぼ形骸化しています。

一方、会計基準の方ですが、これも企業会計原則の公表以来、アップデートされないまま1990年代に至り、ようやく1990年代後半から始まった「会計ビッグバン」でUS GAAPをベースとしたアップデートが一気呵成に行われたことは、記憶に新しいと思います。

これに対して、IFRSとUS GAAPとの差は、言語が同じ英語であるとか、コンバージェンス・プロジェクトの結果、基準書レベルでほぼ収斂されているといった表面的な類似性よりも大きな差異があります。

その代表的な例として、ここでは「収益と費用の定義」と「利益の考え方」を挙げておきます。

IFRSにおける収益とは、「株主からの出資に関連するもの以外の資本の増加」です。
これに対して、US GAAPでは、「株主からの出資に関連するもの以外の資本の増加」を
〈収益〉(=主要な又は中心的な取引による資本の増加)と〈利得〉(=副次的又は付随的な取引による資本の増加)に分けています(J GAAPも実質的には同じです)。

このため、IFRSにおける「収益」とUS GAAPにおける「収益」の混同を避けるため、IFRSにおける収益は、「広義の収益」と呼ばれています。(これはIFRS側から見れば「余計なお世話」なわけですが。)

同様に、IFRSにおける費用とは、「株主への分配に関連するもの以外の資本の減少」です。

これに対して、US GAAPでは、「株主への分配に関連するもの以外の資本の減少」を〈費用〉(=主要な又は中心的な取引による資本の減少)と〈損失〉(=副次的又は付随的な取引による資本の減少)に分けています(J GAAPも実質的には同じです)。

このため、IFRSにおける「費用」とUS GAAPにおける「費用」の混同を避けるため、IFRSにおける費用は、「広義の費用」と呼ばれています。

さらに、収益から費用を引いた残りが利益ですが、いわゆる「包括利益」という概念は、IFRSにおける(広義の)利益とイコールです。

IFRS側から言わせれば、「利益」にわざわざ「包括」などという修飾語を付けた挙げ句に、これを「当期純利益」と「その他の包括利益」に分けるのは、US GAAP側の勝手な事情であり、これもまた余計なお世話なわけです。

ただし、ここ数年は、US GAAPとのコンバージェンスを進めなければならず、また日本をIFRS陣営に引き込みたいという政治的な思惑によって、「『当期純利益』は重要な業績評価指標であり、これを『その他の包括利益』から区分して表示することの意義を認める」という方向転換しているのは事実です。

IFRSも「変節」を強いられている訳ですね。

いずれにしても、
「US GAAPとJ GAAPは同質の会計基準だが、IFRSとJGAAPは異質な会計基準」
であるという認識は持っておく必要があるでしょう。

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