USCPAに受験資格はある?資格取得のための事前チェックリスト

大手監査法人や会計事務所への転職だけでなく、外資系企業の経理部など、USCPAがあることで活躍できるフィールドは拡がります。

USCPAは日本でも既に人気のある資格で、気になるという方も多いのではないでしょうか。

本記事はUSCPAの受験資格や、資格取得前にチェックしておきたいポイントについてご紹介していきます。

USCPA試験の受験資格は州ごとに異なる

USCPAの受験資格ですが、大学や短大といった学位や会計学などの単位が必要になります。しかも、どのような学位や単位が必要とされるかは州によって異なります。

 

学位要件

USCPAの受験資格として、多くの州で4年制大学の“学士号の取得”を要件に挙げています。ただしライセンス取得要件を“4年制大学の学位があること”としているものの、州によってはグアムのように短大や3年制大学を卒業している方や、モンタナ州のように受験だけなら高卒の方でも可能な州があります。ただし、以下にご紹介する単位要件はクリアしなければなりません。

単位要件

上記の学位要件の他、大学や短大などで取得可能な単位を一定単位数以上取得していることが要件とされています。単位要件は大きく分けて、次の2つに分けられます。

 

タイプAの州 「会計単位」と「ビジネス単位」を一定数以上取得していること
タイプBの州 「会計単位」と「ビジネス単位」を一定数以上取得していること、

及び「総取得単位」を一定数以上取得していること

 

「タイプA」の州では「会計単位」と「ビジネス単位」を一定数以上取得していることが単位要件として挙げられています。一方、「タイプB」の州では、それらに加えて総取得単位を一定数以上取得していることが条件に加わっています。

 

例えば、ワシントン州で受験するのに必要な総取得単位は150単位以上となっています。4年制大学出身の方でも卒業までの取得単位が150未満の場合は、USCPA専門学校で不足単位を取得するか、別の州で受験する必要があることになります。

 

上記の会計単位とは「Accounting(会計学)」や「Auditing(監査論)」などがあり、ビジネス単位には「Finance(金融)」や「Economics(経済学)」などがあります。日本の大学でこれらに該当する単位を取得していれば、要件を満たすことになります。不足する場合は、現役の学生なら大学で取得することもできます。しかし、そうでないサラリーマンの方などの場合は日本国内のUSCPA専門学校で取得するのが一般的ですし、最も現実的な方法といえるでしょう。

各州のUSCPA受験資格の特徴

次に、日本人が受験するのに一般的な州の受験資格についてその特徴をご紹介していきましょう。ただし、今後のルール変更については十分注意してください。(2019年7月現在)

 

受験要件 備考
アラスカ州 ・4年制大学の学位

・会計15単位

・4年制大学の学生は不足単位18単位以下で受験可能
グアム ・4年制大学の学位

・会計24単位とビジネス24単位

・会計24単位は全てUpper Divisionであること

・初回受験から18ヶ月以内に受験条件を満たせば、受験条件を満たさずとも受験可能。

ワシントン州 ・4年制大学の学位

・会計24単位とビジネス24単位

・総取得単位150単位以上

・会計24単位には最低15単位以上のUpper Divisionの単位取得が必要
モンタナ州 ・会計24単位とビジネス24単位 ・会計24単位は全てUpper Division※であること
メイン州 ・4年制大学の学位

・会計15単位

・総取得単位120単位以上

・会計15単位にはAuditingの3単位が必要
デラウェア州 ・4年制大学の学位

・会計15単位

・総取得単位120単位以上

・会計単位には、Financial Accounting、Auditing、Taxationが必要
ハワイ州 ・4年制大学の学位

・会計18単位

・会計18単位は全てUpper Divisionであること
カリフォルニア州 ・4年制大学の学位

・会計24単位とビジネス24単位

ニューヨーク州 ・4年制大学の学位

・会計12単位

・総取得単位120単位以上

・会計単位には、Financial Accounting、Auditing(いずれもUpper Division※)、Taxation、Management Accounting

が必要

Upper Division:大学3年次と4年次で受講する上級課程科目の単位

 

USCPAは州ごとに合格の価値も異なるのか?

既にご紹介したように、USCPA受験は州によって必要とされる学位や単位に違いがありますが、合格後の価値は受験した州によって異なるのでしょうか。

結論から先に申し上げれば、州によって合格の価値は全く変わりません。ただし、試験に合格しただけでは「全科目合格者」となるだけです。名刺にUSCPAという肩書きを記載したり、USCPAと名乗るにはUSCPAのライセンスを取得しなければなりません。合格後のライセンス取得要件は州によって異なりますが、概ね会計に関する実務経験を必要とするものになります。

【目的別】おすすめの州は?

USCPAを受験する州ですが、日本国内で受験できるという点でおすすめなのは「アラスカ州」「ニューヨーク州」「グアム」「ワシントン州」「モンタナ州」になります。この中で、受験される方の目的別におすすめの州をご紹介していきましょう。

合格だけが目的の場合

労力や費用を惜しみなく差し出せない状況下の場合、受験で必要な取得単位数の少ない州での受験がおすすめです。「アラスカ州」と「ニューヨーク州」は必要とされている会計単位が少ないため、会計単位の無い方とっては専門学校での単位取得数を減らせ、費用と時間の面から有利です。

ライセンス登録も重視する場合

ライセンス取得のしやすさまで考慮して受験したい場合、ライセンス取得に必要な「実務要件」「居住要件」が無い「グアム」がまずおすすめとなります。グアムには「Inactive License」という制度があるため、実務経験などが無い方もライセンス取得が可能になります。

グアムの他にも実務要件や居住要件が他州よりも緩い「ワシントン州」もおすすめです。

さらにワシントン州なら、会計関連の実務経験であれば会計事務所だけでなく、一般事業会社での実務経験がライセンス取得要件として認められます。尚、ワシントン州であれば合格した州から合格実績をライセンス取得要件の緩い他の州にトランスファーすることも条件付きとなりますが可能です。

受験条件で取得単位の少ない「アラスカ州」「ニューヨーク州」は、ライセンス取得に米国就労条件や、直属の上司がUSCPA、というような要件があり、日本で働く方にとって取得は難しい州となります。

短大・高卒の方が受験する場合

学位要件の緩い州である「モンタナ州」がおすすめです。モンタナ州なら、短大卒や高卒の方でも受験できるからです。ただし、ライセンス取得要件としては4年制大学の学位が必要になりますので注意してください。

USCPA試験は日本会場で受験も可能

おすすめの州で挙げた「アラスカ州」「グアム」「モンタナ州」「ワシントン州」「ニューヨーク州」については日本国内で受験が可能です。現在、日本の試験会場としては、東京と大阪の2つのPrometricテストセンターのみとなっています。

2箇所のみということで本州以外の方には移動が大変ですが、それでもアメリカ国内で受験しなければならなかった時代に比べると時差も無く、日本人はかなり優遇されているといえるでしょう。受験日については1年を3ヶ月毎に区切り、各期間で好きな日時をテストセンターで座席予約して受験可能できます。

受験できる回数ですが、同一科目を3ヶ月毎に1回ずつ受験し、年間で最大4回まで受験できます。

今後のルール変更などには要注意 

USCPAの受験資格やライセンス取得要件については、この記事でお伝えしている内容も含めて「適用要件の変更」には注意が必要です。

例えば、過去には日本で受験が可能な州の一つであるバーモント州において、試験合格者に対して合格後4年以内にライセンスを取得しなければ合格実績が取消されるという決定がされています。受験する州を決める際には、AICPA(American Institute of Certified Public Accountants、米国公認会計士協会、https://www.aicpa.org/)や日本国内の大手USCPA専門学校などで最新の情報を入手するようにしましょう。

まとめ

USCPAの資格取得に興味がある方向けに受験資格などを中心にお伝えしてきました。

受験する州については学歴や単位に関する要件やライセンス要件も含め、よく検討するようにしてみてください。

USCPAは日本国内の企業にも認知度が広がっており、監査法人や会計事務所だけでなく、外資系企業や海外展開する国内企業への転職活動に活かしてみたい方にもおすすめの資格です。

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